さて、いよいよ今回も最終種目 EV5(スピニング片手投げ距離)です
なぜ、この種目が一番最後なのか?
それはこの種目が総合種目のすべての順位を決める種目だからなのです
総合種目には5種目総合、7種目総合、全種目総合(女子は5種目と全種目)それに国別対抗戦の4人の5種目総合の合計得点(女子は2名の合計)があります
そのすべての総合種目にこのEV5が入っているのと、この種目は3ファールしてしまえば得点は0になってしまう危険性もあります
かといってゆるくコートに入れに行って、世界選手権の総合で勝てるほど甘いものではないわけです
この種目を一番最後にもってくることで、最後の最後まですべての総合種目の結果がわからないわけです
この3日間のキリキリとした集中も風を読んで投じた1投も、そして国を背負っている誇りと重圧もこの最後の種目の出来にすべてかかってくるわけです
実際に投げてみると、どれほどのプレッシャーがこの種目にかかってくるかがわかると思います
インランドキャスティングのホントの面白さはこの最終種目の天国と地獄の裏表のEV5にあると思います
さて、今回からこのEV5のルールが少しだけ改正され、今までは力糸なしだったのが0,25mm以上の力糸を使用することになりました
この結果、記録には大きな変動はないですが、最大のプレッシャーである3投糸切れから開放されることになりました
安全面から言うと、力糸があったほうがいいんだけど、試合の面白さという点では若干見ているほうは面白みをさかれたかな?
やってるほうはもちろん「大助かり」のルール改正ですけどね
さて、最大のプレッシャーのかかる予選で総合種の行方もかなり変動しました
5種目総合では70mに終わったドイツのハインツ・マイレ・ヘンスゲ選手が優勝圏内から8位まで落ちてしまいました 結果的に国別対抗戦もこのわずかな得点差からチェコが逆転の優勝をかっさらってしまったわけです もちろんハインツの出来が悪かったわけではもちろんありません それだけ風を見方につけ、渾身の力でみんなが投げたとうことです
毎回思うんだけど、世界タイトルのかかったこの種目でも世界チャンピオンをとる選手は必ずギリギリまで振りぬいてくるんですよね どれだけ自信があるのかと思います
では決勝も模様です
予選トップはスイスのマークス・シュワルツ なんと81mも投げちゃいました ちなみにシュワルツと僕は同じ組で順番も全種目並んでたので、一部始終まじかに見てきました はっきり言ってめちゃくちゃな投げ方ですけど、とにかく思い切り振るというのはこういうことかと思い知らされます
2位通過はポーランドもヤヌス・パプロツキー 80mを投げてきました 何度も世界タイトルを取っている選手です
3位通過は77・82mでスロバキアのカロル・ミクラ EV1に続いての決勝進出です
4位通過77、22mでチェコのヨゼフ・ルクサ 肘を伸ばした独特の投げ方はEV2同様とても個性的です
5位通過は我らが日本の加登眞二選手!EV9に引き続き決勝進出です 76,91mはすごいです 猫背になる悪い癖もすっかりなくなっちゃいましたね
6位通過はアメリカのヘンリー・ミッテル 彼は回転せずに投げる選手なので、これからEV5に挑戦しようと思っている方は是非参考にしてみてください かといって回転しないでこんなになんで投げられるのか???教えて欲しいくらいです
7位通過はスロベニアのドゥラサン・ステバノビッチ(愛称ドラちゃん) 76,29m 個人的にとっても仲がいい選手で、試合前のEV5の練習はいつもドラちゃんとしてきました ロッドのバットにスキーのストックを使っていたことでも有名です スロベニアのエースでもありEV5では2004年スイス大会の世界チャンピオンです
加登さんが勝てなかったら、ドラちゃんに勝ってもらいたいという心境でした
8位通過はチェコのパトリック・レクサ 76,05m やっぱりパトリックはさすがですね
映像はパソコンの調子が悪くて編集できませんでした 最終投擲のぶっ通しです
ではどうぞ
というわけで、いつもなら右に抜けているような投擲の音だったのにロッドにしっかりプラグが乗っかってスーパーキャストをしてくれたドラちゃんが大逆転の優勝をかっさらいました その記録は77,53m!
プラグがコートに入っていた瞬間に全員がどよめき、いかに飛びぬけたキャストだったかがわかります
鳥肌たちましたわ ほぼ無風ですからね
2位には一投目に75,63mmを投げたチェコのヨゼフ・ルクサ 3位にはアメリカのヘンリー・ミッテルが73,55mで入りました
実は4位は72,16mで日本の加登さんなんですが・・・ドラちゃんが最後にスーパーキャストをしていなければ銅メダルだったんですよね 惜しいなぁ というか ちょっと複雑な気持ちでした
5位は71,69mで予選トップだったスイスのマークス・シュワルツ
6位には予選2位だったポーランドのヤヌス・パプロツキーが70,40mで入りました
7位は68,54mでスロバキアのカロル・ミクラ
8位はチェコのパトリック・レクサ 68,54mでした
お恥ずかしい話ですが、僕もこの種目が結構得意なほうで 予選の最終投擲でかなりいいキャストが出来たんです 記録も75m近く飛んでたので「もしや決勝では?」などと思い込み・・・
必死になって雨でぬれたラインを3スプール分しっかりタオルとティッシュでクリーニングし直して準備してたんですよね
結果を見たら14位・・・1mも足りなかったわけです
まあ、もしものことを必死で考えてたわけですが 予選通過ならずとわかったときはさすがにがっくりしました
世界選手権に行く機会が与えられた選手はとにかく決勝に進むことを考えてみてください
100人以上もいる選手の中からわずか8人だけの決勝ですが、誰が予選を通過したかはボードに寸前になってぽんと紙が張りだされるだけなんです 集計作業はもちろん必死にやってくれてますが、実際はそういうもんなので、いつでも決勝に残った時の準備をしておく必要があるんですよ
もちろんチームでも必死になって決勝進出者の確定を確認しに行くのですが、だいたい寸前までわかりません おおよその予選突破ラインを知っておくことも世界選手権では必要なテクニックでもあるわけです
これで全種目の競技が終了しました
後は表彰式とバンケットを残すだけ・・・